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修学費用の返還

はじめに

看護師や理学療法士等医療スタッフの不足を補うために、学生がこれらの資格を取得するにあたり、学費等を貸し付け、資格取得後に当該医療機関にて一定期間働いた場合には、貸し付けた学費の返還を免除するという制度を導入している医療機関は少なくありません。しかし、このような制度は、スタッフの退職の自由を制限するものとして、労働基準法等に違反する可能性がありますので、各医療機関の制度について、弁護士に相談する等、適法性について確認されることをお勧めします。

判断要素

修学費用の貸付制度の有効性について、明確な法律上及び判例上の要件はありません。もっとも、裁判例(大阪地方裁判所平成14年11月1日)等から考察しますと、①修学についての業務性の程度と②修学費用の貸し付けについての契約の経緯や内容が、主な判断要素となると考えます。
具体的には、既に当該医療機関に従事する従業員に対し、業務に関連した内容を学ぶために修学をしたり留学をしたりするといった場合には、業務性が強いと判断されるでしょうし、逆に、当該医療機関に採用する前に、看護師や理学療法士といった個人の資格を取得するための修学費用を貸し付けるといったような場合には業務性はさほど高くないと判断されると考えます。
また、修学費用の貸し付けについての契約に際し、例えば当該医療機関に関連する看護学校に入学する条件として修学費用の貸し付けを義務づけ、卒業後は当該医療機関での勤務を条件とするような場合には、退職の自由を制限する事情が強いと判断されると考えます。

まとめ

修学費用の貸し付け、その返還義務免除と一定期間の就労を関連づける制度すべてが違法というわけではなく、むしろ、費用面で看護師等に就労することを断念せざるを得ない学生にとっては、自己実現の手助けとなる有用な制度です。もっとも、医療機関の看護師や理学療法士等医療スタッフの不足を補うという側面が強く出過ぎために、制度利用した者に対し、労働を強制したり退職の自由を制限したりするというような状況となった場合には、違法となり、不法原因給付として貸し付けた費用の返還を求めることもできなくなることがあります。したがって、各医療機関の制度について、弁護士に相談する等、適法性について確認されることをお勧めします。

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