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病院、クリニックのクレーム対応について

昨今、「モンスターペイシェント」という言葉が広く使われるようになっているように、病院・クリニックなどの医療機関において、迷惑患者対応は深刻な問題となっております。迷惑患者対応を誤ると、他の患者が不快な思いをしたり、診療に影響したりするばかりか、対応する職員の心身への影響も計り知れません。

もちろん医師は「お医者様」という偉い存在ではありませんが、患者さんも「神様」というわけではありません。医師と患者が対等な関係を築き、良いコミュニケーションをとることが、良い医療の提供、良い職場環境の構築につながります。

迷惑患者対応のポイント

  1. まずは患者に寄り添う
  2. 事実を把握する
  3. 複数人で対応する
  4. 落ち着いた環境で対応する
  5. 記録を残す
  6. 特別扱いはしない
  7. 警察対応も選択肢に

1.まずは患者に寄り添う

怒っている患者に、最初から敵対的に接しても良い関係は築けません。まずは、「いかがなさいましたか」などと、患者の気持ちに寄り添うことが大切です。

2.事実を把握する

怒っている人には、怒っている理由があります。まずその理由を把握しなければ、適切な対応をとることができません。

たとえば、診察を予約しているのに長時間待たされたと怒っている患者について、その患者が、予約時間から1時間も待っているのであれば、それは誠実に謝罪すべきですよね。他方、5分しか待っていないのに感情的に怒っているような場合には、それは無理な要求をしているといえるかもしれません。

患者から聞き取った内容をもとに、事実を確認し対応するようにしましょう。

3.複数人で対応する

こちらが複数人で対応するだけで、怒っている人は怒りの矛先を絞ることができず、クールダウンすることが多いです。また、複数人で対応することで、対応する職員の負担も軽減しますし、チームプレーでの対応が可能となります。

さらに、後の項目にもありますが、正確な記録(メモ)を残すためにも複数人での対応が重要です。

4.落ち着いた環境で対応する

受付や待合で騒いでいるような場合は、別室に案内しましょう。怒っている人も冷静になるきっかけができますし、他の患者への迷惑を避けることができます。ただ、狭い密室の場合は、職員に危害が及ぶ可能性があります。

対応する部屋はあらかじめ決めておき、机を間に挟む、逃げる際の導線を確保する、すぐに助けを呼べる状態にする、複数人で対応するなどの方針とともに整備しておきましょう。

5.記録を残す

クレーム対応をする際に、怒っている人の話した内容がこちらに正確に伝わっていないと、誠実な対応をしていないと更に火に油を注ぐことになりかねません。対応する際はメモをとりながら、正確に回答するようにしましょう。

また、後に顧問弁護士に相談する際や、強迫等があり警察に相談する際、裁判になった際などには、正確な記録が有益です。必要に応じ、録音をすることも検討ください。患者に秘密に録音することも許容される場合がありますので、あらかじめ対応を決めておきましょう。

6.特別扱いはしない、念書や謝罪文をその場で書かない

クレーマー対応で、早く終わって欲しいという思いから、診療費を免除する、他の患者を飛ばして診察をするなどといった特別扱いをしたり、念書や謝罪文を書くことを迫られそれに応じてしったりといったことが、少なからずあります。

しかしながら、そのような対応は、クレーマーを助長し、事態をより複雑にしてしまいます。相手方に求められるがままに、安易な特別扱いは行わず、念書や謝罪文をその場で書かないようにしてください。「責任者(顧問弁護士)と相談し、後日回答します。」などとし、日を改めることも有用です。

7.警察対応も選択肢に

クレーマーの中には、暴言が過ぎ強迫に該当するようなことを言ったり、職員に暴力を振るったりする者もいます。これらはそれ自体が立派な犯罪ですし、状況によっては業務妨害罪(刑法234条)なども成立します。

また、そもそも、診療が終わり退去を求めているのに、クレームを言いながら病院から帰らない場合は、不退去罪(刑法130条後段)が成立しえます。

患者さんを警察に通報することに躊躇するのは当然ですが、犯罪行為には毅然とした態度で接することが重要です。いきなり警察に電話をしなくても、「このままお帰り頂けなければ警察に連絡しますよ」などと言うだけでも効果があります。

医師法の応召義務と「正当な理由」について

医師法19条第1項は、「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」といわゆる応召義務を規定しています。

ここで、治療費を支払わない患者や、病院・医療機関のいうことを聞かない迷惑患者の診療を拒否できるのかが、同条の応召義務との関係で問題となります。この点、旧厚生省の古い通知(昭和24年9月10日医発第752号 厚生省医務局長通知)では、「医業報酬が不払いであっても直ちにこれを理由として診療を拒むことはできない。」などとされており、少なくとも治療費を支払わないことを理由に診療を拒否すると応召義務違反になります。

しかしながら、昭和24年当時の医療環境と現在の医療環境は大きく異なっております。結局は、治療の緊急性や他の医療機関に受診する機会があるのかといった医療環境なども踏まえ、医師と患者の信頼関係がどの程度崩壊しているのかによって、個別具体的な事情から診療拒否が認められる「正当事由」の有無を判断すれば良いと考えます。

治療費の未払いが継続しており、再三の請求に対しても対応しないような患者や、暴言を吐き続け、こちらからの再三の注意も聞き入れないような患者が、緊急性の低い疾患の治療を求めていてるような場合には、診療を拒否しても応召義務違反に当たらないこともあると考えています。最終的には、裁判所や行政の判断になりますが、他の患者への影響なども考慮し、良心に従った判断をすればそれで良いのではないでしょうか。

もっとも、個別具体的案事情から法的な判断をせざるを得ませんので、医療に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。大阪A&M法律事務所では、顧問契約を締結して頂いた医療機関には、こういったご相談も顧問料の範囲内でさせて頂いております。

弁護士のサポート内容

大阪A&M法律事務所では、顧問契約を締結して頂いた医療機関に対しましては、迷惑患者対応について、事前に、院内研修会をさせて頂いたり、電話やメールでのご相談に伸側に対応させて頂いております。また、顧問契約を締結して頂いた医療機関に対しましては、診療を拒否する際の通知書などのひな形も提供させて頂きます。

まずは、お気軽にご相談ください。

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