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患者さん本人からのカルテ開示

以前は、カルテは医師ないし医療機関の物であるという考えから、患者さんからのカルテ開示要求に応じない医療機関が少なくありませんでした。しかしながら、2003年に成立した個人情報保護法に本人からの求めによる保有個人データの開示が規定された(法第28条(旧法第25条))ことを契機に、現在は、多くの医療機関が任意のカルテ開示に応じています。

この点、個人情報保護法を受けて厚生労働省が作成した「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」においても、

「診療録の情報の中には、患者の保有個人データであって、当該診療録を作成した医師の保有個人データでもあるという二面性を持つ部分が含まれるものの、そもそも診療録全体が患者の保有個人データであることから、患者本人から開示の請求がある場合に、その二面性があることを理由に全部又は一部を開示しないことはできない。ただし、法第28条第2項各号のいずれかに該当する場合には、法に従い、その全部又は一部を開示しないことができる。」

とされており、現在においては、患者さん本人からの請求がある場合には、カルテ開示を行うことが求められています。このことは、患者さん本人のカルテ開示の目的による制限はなく、たとえ当該医療機関の医療事故に対する訴訟等を目的とするものであっても違いはありません。

カルテの開示に関するガイドライン

カルテの開示に関するガイドラインとしては、厚生労働省作成の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(以下「ガイダンス」といいます。)が重要です。これは、従前、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」とされていたものが、2017年全面施行の個人情報保護法の改正を受け改定されたものです。かかるガイダンスでは、カルテ開示のみならず、医療機関等での個人情報の取り扱いについて厚生労働省の見解が示されていますので、同ガイダンスに関するQ&Aも含め、検討しておくことをおすすめします。

また、日本医師会の作成している「診療情報の提供に関する指針」につきましては、最近の改定が平成14年とやや古いものではありますが、参考になる記載も多数ありますので、こちらにつきましても参考にしてください。

家族等患者さん本人以外がカルテの開示を求めた場合

患者さん本人が未成年であったり意識がない場合に、患者さんのご家族からカルテの開示が求められることがあります。また、患者さんが医療行為に関連した死亡した場合には、患者さんのご遺族が、医療行為に問題がなかったか検討するために、医療機関に対しカルテ等の開示を求めてくることがあります。このような場合にどのように対応することが良いのでしょうか。

原則は、患者さんご本人以外の者に対し患者さんの個人情報であるカルテ等を開示するためには、患者さんご本人の同意が必要です。この点、未成年者の法定代理人等についてもガイダンス上、

「法定代理人等、開示の請求を行い得る者から開示の請求があった場合、原則として患者・利用者本人に対し保有個人データの開示を行う旨の説明を行った後、法定代理人等に対して開示を行うものとする。」

とされているように、患者さんご本人への説明を行うことが求められています。

次に、患者さんが死亡した場合のご遺族からの開示請求についてですが、個人情報は死者の情報を対象としておりませんので、個人情報保護法の規制の対象外です。もっとも、ガイダンスではご遺族からの請求についても触れられており、

「法は、OECD8原則の趣旨を踏まえ、生存する個人の情報を適用対象とし、個人情報の目的外利用や第三者提供に当たっては本人の同意を得ることを原則としており、死者の情報は原則として個人情報とならないことから、法及び本ガイダンスの対象とはならない。しかし、患者・利用者が死亡した際に、遺族から診療経過、診療情報や介護関係の諸記録について照会が行われた場合、医療・介護関係事業者は、患者・利用者本人の生前の意思、名誉等を十分に尊重しつつ、特段の配慮が求められる。このため、患者・利用者が死亡した際の遺族に対する診療情報の提供については、「診療情報の提供等に関する指針」(「診療情報の提供等に関する指針の策定について」(平成15年9月12日医政発第0912001号))の9において定められている取扱いに従って、医療・介護関係事業者は、同指針の規定により遺族に対して診療情報・介護関係の記録の提供を行うものとする。」

とされています。なお、ガイダンスの引用する指針では、「医療従事者等は、患者が死亡した際には遅滞なく、遺族に対して、死亡に至るまでの診療経過、死亡原因等についての診療情報を提供しなければならない。」とされていますので、ご遺族に対しても遅滞なくカルテ等を開示することが原則となります。

カルテ開示の際に必要な書類

上記のとおり、カルテ開示には応じることが原則です。とはいえ、誰からの請求なのか、どの範囲でのカルテ等を求めているのか等を明確にするために、カルテ開示を請求するものに、カルテ開示請求書等の書面での請求を求めた方が良いです。また、患者さん本人からの請求であれば、患者さん本人であることを証明するために身分証等の提出を求め写しを保管してください。家族等患者さん本人以外の者からの請求の場合には、その者の本人確認の書類とともに、患者さんの同意書又は委任状の提出を求めます。

カルテ開示請求書、同意書、委任状等必要書類については、顧問契約を締結していただいた医療機関には、当事務所からひな形を提供いたします。

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